フレッツ・VPN プライオと他VPNの違いとは？導入前に知っておくべきこと

社内ネットワークのセキュリティ強化や拠点間通信の安定化を図る上で、VPNの導入は欠かせない選択肢です。

中でも「フレッツ・VPN プライオ」は、NTT東西が提供する閉域ネットワークサービスとして、多くの企業に採用されています。

しかし、VPNといっても「インターネットVPN」「IP-VPN」「広域イーサネット」など複数の選択肢があり、それぞれ特徴や用途が異なります。

この記事では、「フレッツ・VPN プライオ」と他VPNサービスの違いをわかりやすく解説。

どのようなケースでプライオが最適なのか、導入前に押さえておきたいポイントをまとめてご紹介します。

1 フレッツ・VPN プライオとは
- 1.1 主な特徴
2 フレッツ・VPN プライオのメリット・デメリット
- 2.1 メリット
- 2.2 デメリット
3 フレッツ・VPN プライオと他のVPNサービスとの違いは？
- 3.1 1. インターネットVPNとの違い
- 3.2 2. IP-VPN・広域イーサネットとの違い
4 フレッツ・VPN プライオはこんな企業におすすめ
5 まとめ

フレッツ・VPN プライオとは

フレッツ・VPN プライオは、NTT東日本・西日本が提供する閉域網型のVPNサービスです。

一般的なインターネットVPNとは異なり、NTTのフレッツ網内だけで通信が完結するのが大きな特徴です。

このため、インターネットを経由せずに拠点間を接続でき、盗聴や不正アクセスのリスクを低減。

中小企業から大企業まで、セキュリティとコストのバランスを重視する法人に利用されています。

主な特徴

閉域網（NTTのフレッツ網）内で完結する通信
インターネットを使用しないためセキュリティが高い
専用線やIP-VPNと比べて導入コストが抑えられる
フレッツ光（ネクスト・ライトなど）と組み合わせて利用可能
VPN装置（ルータ）を設置するだけで簡単に構築できる

仕組みのイメージ

各拠点のフレッツ光回線をVPNルーターで接続し、それらがNTTの閉域網上で通信を行う構成。

インターネットを使わずに安全かつ安定した拠点間通信が実現できます。

フレッツ・VPN プライオのメリット・デメリット

フレッツ・VPN プライオは、コストとセキュリティのバランスが取れたサービスですが、当然ながらメリットとデメリットの両面があります。

導入前に、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。

メリット

フレッツ・VPN プライオのメリットは、次のとおりです。

インターネットを介さない高いセキュリティ
- 通信がNTTの閉域網内で完結するため、盗聴や不正アクセスのリスクが低く、セキュアな拠点間通信が可能です。
コストを抑えたVPN構築が可能
- IP-VPNや専用線に比べて導入・運用コストが安価。既存のフレッツ回線を活用できる点も魅力です。
全国どこでも利用可能
- NTT東日本・西日本の提供エリア内であれば、地方拠点や小規模オフィスも含めて簡単にVPN環境を構築できます。
導入・運用が比較的シンプル
- 特別な専用線や大規模工事は不要。VPN対応ルーターを設置するだけで導入できるため、中小企業にも扱いやすい設計です。
柔軟な拡張性
- 拠点追加や構成変更にも対応しやすく、段階的なスケールアップが可能です。

デメリット

フレッツ・VPN プライオのデメリットは、次のとおりです。

通信速度の保証がない（ベストエフォート型）
- 専用線やIP-VPNと異なり、帯域が保証されていないため、時間帯や地域によって通信速度が不安定になる場合があります。
一部クラウドサービスとの接続に制限がある
- 閉域網の特性上、パブリッククラウド（AWS、Microsoft Azureなど）との直接接続には別途構成や追加オプションが必要です。
NTT提供エリア外では利用不可
- 基本的に国内向けサービスであり、海外拠点との通信には向きません。
高度な機能にはオプションが必要
- 冗長構成、死活監視、ログ管理などを求める場合は、追加のサービスや構成が必要となり、コストが増加する可能性があります。

フレッツ・VPN プライオと他のVPNサービスとの違いは？

ここからは、フレッツ・VPN プライオと他VPNサービスを比較してみましょう。

1. インターネットVPNとの違い

項目	フレッツ・VPN プライオ	インターネットVPN
通信経路	閉域網（NTT内）	公開インターネット
セキュリティ	高い（盗聴リスク低）	通信の暗号化必須
安定性	比較的安定	混雑や帯域制限に左右される
コスト	中〜低	低コスト

ポイント

コスト面ではどちらも安価ですが、セキュリティや安定性を求めるならプライオが有利。

2. IP-VPN・広域イーサネットとの違い

項目	フレッツ・VPN プライオ	IP-VPN / 広域イーサネット
提供事業者	NTT東西	通信キャリア各社
通信品質	ベストエフォート	SLAあり・高品質
導入コスト	低〜中	高額（回線敷設含む）
スケーラビリティ	中程度	高い（大規模向け）

ポイント

高品質かつ大規模なネットワーク構築が必要ならIP-VPN。

一方、コスパ重視・中小企業ならフレッツ・VPN プライオが現実的。

フレッツ・VPN プライオはこんな企業におすすめ

「自社にフレッツ・VPN プライオは合っているのか？」

その判断の参考になるよう、具体的な企業の特徴や利用シーンに基づいて、向いているケースをまとめました。

1. 複数拠点を持つ中小企業

本社と支店、営業所、倉庫などをつなぐネットワークが必要な企業に最適です。

インターネットを介さない閉域網でセキュリティも高く、かつコストを抑えながら導入できます。

2. システム部門の専任担当がいない企業

VPN機器の設定や運用が比較的簡単で、NTTのサポートも利用可能。

ネットワークに詳しい担当者がいなくても、安定した拠点間通信を構築できます。

3. セキュリティ対策を重視したいが予算に限りがある企業

IP-VPNや専用線に比べてコストが抑えられるため、セキュリティとコストのバランスを重視する企業にぴったりです。

4. 遠隔拠点でも安定した通信を確保したい企業

NTTのフレッツ網を使うため、全国各地に拠点があっても、比較的安定した通信環境を確保できます。

地方拠点との接続にも強みがあります。

5. 段階的にネットワークを拡張したい企業

新しい拠点が増えた場合にも、フレッツ回線を引くだけで追加が可能。

スモールスタートから始めて、事業拡大にあわせて柔軟に拠点を増やしていけます。

こんな企業には不向き

海外拠点とのVPN通信が必要な企業
通信帯域の保証（SLA）が絶対条件の企業
AWSやAzureなどクラウドとの高密接な連携が前提のシステムを構築している企業

これらの場合は、IP-VPNや専用線など、より上位のサービスを検討した方がよいケースもあります。

まとめ

VPN選びは「何を重視するか」がカギ。

セキュリティとコストのバランスをとりつつ、比較的簡単に構築できる「フレッツ・VPN プライオ」は、特に中小規模の法人にとって有力な選択肢です。

とはいえ、企業の通信環境はそれぞれ異なります。

他のVPNとの違いをよく理解した上で、自社に最適なネットワーク構成を選びましょう。

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フレッツ・VPN プライオとは

主な特徴

フレッツ・VPN プライオのメリット・デメリット