法人向けVPN「IP-VPN」とは？初心者でもわかる導入ガイド

企業のネットワーク構築において「VPN」は欠かせない技術です。

その中でも、IP-VPNは法人向けに特化した高セキュリティで安定した通信を提供するサービスとして、多くの企業に利用されています。

特に、セキュリティや通信品質を重視する企業に最適です。

「IP-VPNって何だろう？」と感じている方もご安心ください。

本記事では、IP-VPNの仕組みや特徴、導入のメリットとデメリットを初心者向けにわかりやすく解説します。

これからIP-VPNを導入する際の参考として、ぜひご覧ください。

1 IP-VPNとは
2 IP-VPNのメリットとデメリット
- 2.1 メリット
- 2.2 デメリット
3 IP-VPNはどんな企業に向いている？
4 IP-VPN導入時のチェックポイント
5 まとめ

IP-VPNとは

IP-VPN（Internet Protocol Virtual Private Network）とは、通信キャリア（例：NTT、KDDIなど）が提供する閉域網（インターネットを使わないネットワーク）を使って、企業の拠点同士を安全に接続するサービスです。

一般的なインターネットVPNと違い、IP-VPNでは通信キャリアの専用ネットワーク（MPLS網）が使われます。

そのため、高いセキュリティと通信品質が確保されており、金融機関や自治体、大手企業などでも広く導入されています。

特徴まとめ

インターネットを一切通らない閉域網
⇒ 外部からの侵入や盗聴のリスクを大幅に低減
通信キャリアが品質を管理
⇒ 帯域制御や遅延の少ない安定通信を実現
全国・海外拠点とも接続可能
⇒ 拠点数が多い企業や多地域展開の法人に最適

IP-VPNのメリットとデメリット

IP-VPNは、セキュリティと品質の高さが魅力の法人向けVPNサービスですが、導入にはコストや運用面の注意も必要です。

ここでは、メリット・デメリットをバランスよく紹介します。

メリット

高いセキュリティ
- インターネットを一切通さない閉域網通信のため、外部からの不正アクセスや盗聴のリスクが大幅に低減されます。
通信品質が安定している
- 通信キャリアの専用網（MPLS）を利用し、帯域管理も行われているため、速度や安定性が非常に高いです。
拠点の拡張性が高い
- 全国・海外に拠点がある企業でもスムーズにネットワーク構築が可能。将来的な拠点追加にも対応しやすいです。
重要な業務システムとの親和性が高い
- ERP、基幹業務、音声通話、テレビ会議など、通信品質が求められる業務との相性が良いです。

デメリット

導入・月額コストが高め
- インターネットVPNやフレッツ・VPN プライオと比較すると、初期費用・月額料金ともに高めです。
導入までのリードタイムが長い
- 回線の開通やルーター設定などで導入までに数週間～数ヶ月かかるケースがあります。
専門知識が求められる場面がある
- 大規模構成や障害対応など、運用にはネットワークの知識が必要なケースも。
クラウドとの接続に追加構成が必要なことも
- AWSやAzureなどのクラウドサービスと連携するには、専用のゲートウェイや接続サービス（例：閉域接続）が必要な場合があります。

IP-VPNはどんな企業に向いている？

IP-VPNは高セキュリティ・高品質な通信を求める法人向けのVPNです。

特に以下のような企業にとって、IP-VPNは非常に相性の良い選択肢と言えます。

1. 全国・多拠点展開している企業

全国に支社や営業所がある企業にとって、安定した拠点間通信は必須です。

IP-VPNなら各拠点を閉域網で安全につなぎつつ、通信品質も確保できます。

2. 金融・医療・官公庁などのセキュリティ重視業種

顧客情報や機密データを扱う業種では、外部からの侵入や情報漏えいを最小限に抑える仕組みが求められます。

IP-VPNはインターネットを通らないため、これらの業界のセキュリティ要件にも対応可能です。

3. リアルタイム通信を必要とする企業

音声通話（VoIP）、テレビ会議、業務アプリなど遅延や通信トラブルが業務に直結する企業では、通信品質が保証されたIP-VPNが安心です。

4. 基幹システムをオンプレミスで運用している企業

クラウド移行していない、またはハイブリッド環境を構築している企業では、データセンターとの安定・高速な接続が不可欠。

IP-VPNはそのニーズにしっかり応えられます。

5. SLA（サービス品質保証）を求める企業

ネットワークのダウンが業務に致命的な影響を与える企業では、キャリアによるSLA付きサービスが大きな安心材料になります。

IP-VPNなら、そうした要件にも応えられます。

こんな企業には向いていない

拠点数が少なくコストを抑えたい企業
導入スピードを重視する企業
AWSやGoogle Cloudなどクラウド中心の構成の企（→閉域接続オプションなど追加対応が必要）

IP-VPN導入時のチェックポイント

IP-VPNは高品質なVPNサービスですが、導入にはコストや構成の検討が必要です。

ここでは、導入前に必ず確認しておきたいポイントを5つに分けて解説します。

1. 拠点数・ネットワーク構成の確認

何拠点を接続するのか
本社と支店だけか、複数拠点の全体メッシュ型か
海外拠点の有無

⇒ 拠点数が多いほど、構成の複雑さとコストも上がるため、最適な接続方式（ハブ＆スポーク／フルメッシュ）を検討しましょう。

2. 必要な通信帯域・トラフィック量

業務で利用するアプリケーションの通信量
同時接続数、バックアップ通信の有無
音声・映像などリアルタイム通信の利用有無

⇒ 帯域が不足すると、遅延や通信切断の原因になります。将来の利用拡大も見越して設計しましょう。

3. セキュリティポリシーとの整合性

社内の情報セキュリティ基準に合っているか
ウイルス対策・アクセス制御の仕組みはどうするか
閉域接続だけで完結するか、外部アクセスも必要か

⇒ IP-VPN自体は安全でも、端末側やクラウド接続などの運用も含めてトータルで設計が必要です。

4. クラウドサービスとの接続方法

AWS・Azure・Google Cloud などを使っているか
クラウドと社内システムの通信方法（インターネット経由 or 閉域接続）

⇒ クラウドと安全に連携するには、キャリアのクラウドゲートウェイサービス（例：OCNクラウドゲートなど）を活用するケースも。

5. コストと導入スケジュール

初期費用（回線敷設・機器設置・設定費用など）
月額利用料（帯域・拠点数で変動）
導入までのリードタイム（数週間～数ヶ月）

⇒ 「急ぎでVPNを使いたい」場合には、インターネットVPNの方が向いている可能性もあります。

まとめ

IP-VPNは、「高セキュリティ」「高品質通信」「法人専用」の三拍子そろったVPNサービスです。

その分、コストや構築のハードルはありますが、重要な業務を担う企業にとっては、非常に信頼性の高い選択肢となります。

中小企業なら「フレッツ・VPN プライオ」、コスト重視なら「インターネットVPN」との比較も有効です。

自社の通信ニーズにあわせて、最適なVPNを選びましょう。

法人向けVPN「IP-VPN」とは？初心者でもわかる導入ガイド

IP-VPNとは

IP-VPNのメリットとデメリット