VPNの脆弱性とは?危険性と安全に使うための対策を解説

テレワークや海外アクセスのために便利なVPNですが、「VPNなら必ず安全」というわけではありません。

実際には、VPNサーバーやソフトウェアの脆弱性が悪用されて不正アクセスや情報漏洩の被害が発生するケースもあります。

特に、セキュリティパッチを適用していない企業のVPN機器や、無料VPNサービスには注意が必要です。

この記事では、VPNの脆弱性や利用時に潜むリスクの具体例と、安全に使うための対策やサービス選びのポイントをわかりやすく解説します。

VPNを安心して使いたい方や、企業のネットワーク管理者はぜひ参考にしてください。

VPNの脆弱性の主な種類

VPNの脆弱性には、いくつかの代表的な種類があります。

それぞれ、どのようなリスクがあり、なぜ問題になるのかを詳しく整理すると以下の通りです。

1. VPN機器やソフトウェア自体の脆弱性

商用VPN機器(Fortinet FortiGate、Pulse Secure、Citrix Gatewayなど)やVPNソフトウェアには、セキュリティホール(脆弱性)やバグが発見されることがあります。

これらの脆弱性がパッチ適用前に放置されると、攻撃者がネットワークに侵入する足がかりになります。

実際、企業ネットワーク侵入やランサムウェア攻撃の多くで、VPN機器の脆弱性を悪用した手口が使われています。

なぜ危険なのか?

1、リモートアクセスの入り口になる

VPNは社内ネットワークへ安全に接続するためのゲートウェイですが、脆弱性を突かれると外部から社内に直接侵入される危険があります。

2、管理者権限の奪取が可能

多くの脆弱性は、認証回避やコード実行を許すもので、攻撃者が管理者権限を得てネットワーク全体を操作できるようになります。

3、ランサムウェア攻撃の起点になる

攻撃者がVPN機器を突破すると、社内のPCやサーバーを暗号化し、身代金を要求する攻撃が広がります。

実際に起きた事例

Fortinet(FortiGate)の脆弱性

2020年以降、未パッチのFortiGateを標的にした侵入事件が相次ぎ、情報窃取やランサムウェア攻撃が発生。

Pulse Secureの脆弱性

2021年、APTグループ(国家支援型ハッカー)がPulse Secureの未修正脆弱性を悪用し、政府機関や企業の内部ネットワークに侵入。

どう対策する?

セキュリティパッチを最優先で適用する

VPN機器やソフトウェアは、脆弱性が発見されるたびに更新が提供されるので、即時アップデートが必須です。

古いファームウェアを使わない

サポート切れ製品やアップデート停止製品は、攻撃対象になりやすいため更新やリプレースが必要。

脆弱性情報を常にチェックする

JPCERTやベンダー公式情報で、使用中の機器が脆弱性の対象かを定期的に確認。

MFA(多要素認証)を導入する

仮にVPNが突破されても、二段階認証で被害を最小限にできる。

2. 古いVPNプロトコルや暗号化方式の使用

古いVPNプロトコルや暗号化方式の使用が危険な理由としては、

  • 暗号化が時代遅れで解読されやすい
  • 既知の脆弱性が放置されている
  • 認証が弱いケースが多い

があります。

具体的に危険なプロトコルや暗号化の例

1、PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)

90年代に普及した古いVPN方式で、暗号化にMPPE(RC4)を使用。

RC4やMS-CHAPv2の弱点を突かれると、短時間でセッション解読やパスワードクラッキングが可能。

Microsoft自身が利用を非推奨としている。

2、L2TP/IPsec(古い設定)

L2TP自体は暗号化機能を持たず、IPsecと併用するが「短い鍵長(56bitや128bit)」「弱い暗号スイート(3DESやMD5)」を使っている環境は安全性が不十分。

NAT環境での安定性問題もあり、改ざんやセッションハイジャックのリスクがある。

3、古いSSL/TLSベースのVPN

SSLv3や初期のTLS(1.0/1.1)は既に**脆弱性(POODLE、BEASTなど)**が知られており、攻撃対象になりやすい。

どんなリスクがある?

通信の盗聴やデータ流出

暗号化が突破され、送信データ(ログイン情報や機密ファイル)が漏洩。

セッション乗っ取り(ハイジャック)

攻撃者が通信を横取りし、ユーザーになりすましてネットワークに侵入。

中間者攻撃(MITM攻撃)

弱い暗号や認証を利用すると、攻撃者が間に入り込み通信を改ざん可能。

安全に使うための対策

PPTPは使わない

Microsoftもサポート外としており、実質的に廃止レベルの危険性。

L2TP/IPsecを使う場合は安全な設定にする

AES-256やSHA-2を使用し、短い鍵長や古いアルゴリズムを避ける。

最新のVPNプロトコルを利用する

WireGuard:軽量かつ現代的な暗号を使用し、高速で安全。

OpenVPN(AES-256):広くサポートされ、セキュリティが高い。

SSL/TLSのバージョンを更新する

TLS 1.2以上を必須化し、古い暗号スイートを無効化。

3. 設定ミスや認証の甘さ

VPNの設定ミスや認証の甘さは、攻撃者にとって最も狙いやすい脆弱性のひとつです。

VPNそのものの技術が安全でも、運用や設定が甘ければ簡単に突破されるリスクがあります。

どんな問題があるのか?

弱いパスワードや使い回し

「123456」「password」などの単純なパスワードや、他サービスと共通のパスワードを利用していると、総当たり攻撃や漏洩データベースから簡単に突破される。

共有アカウントの使用

複数人で1つのIDを使い回すと、不正アクセスが発生しても誰が原因かわからず追跡困難。

退職者や外部委託者がアカウントを保持したままになることもある。

二要素認証(MFA)がない

ユーザーIDとパスワードのみでVPN接続できる場合、認証情報が漏れると即座に侵入可能。

フィッシングやキーロガー攻撃で突破されやすい。

ポートやサービスの開放ミス

VPNサーバーで不要な管理ポートや古いサービスが公開状態になっていると、攻撃の入口になる。

証明書管理の不備

有効期限切れや自己署名証明書のまま放置されていると、なりすましやMITM攻撃(中間者攻撃)のリスクが高まる。

なぜ危険なのか?

認証が甘いVPNは、ID・パスワードを手に入れた攻撃者に簡単に突破される。

一度VPN経由で侵入されると、社内LANや機密データにフルアクセスされる危険性がある。

ランサムウェアや情報窃取型マルウェアの侵入経路としても悪用されやすい。

実際の被害例

総当たり攻撃(ブルートフォース)でVPNアカウントが突破され、社内ネットワークにランサムウェアが展開された事件が複数報告。

外部委託者が持つ共有アカウントを経由して、内部システムが改ざんされた事例もある。

対策

強力なパスワードポリシーの導入

英数字・記号を組み合わせた長いパスワードを必須化し、定期的に変更。

多要素認証(MFA)の必須化

ワンタイムパスコードやハードウェアキーを利用して、ID・パスワード漏洩でも突破を防止。

アカウント管理の徹底

個人ごとに専用アカウントを発行し、退職・契約終了時には速やかに削除。

共有アカウントの使用を避ける。

定期的な監査とアクセスログ確認

不審なログインや失敗試行を早期に検知して対応。

証明書とサーバー設定の見直し

有効期限や暗号化強度を定期チェックし、不要なポートや古いサービスを閉じる。

4. 無料VPNや信頼性の低いサービス

無料VPNや信頼性の低いVPNサービスは、コストをかけずに手軽に使える一方で、セキュリティやプライバシーの観点から大きなリスクがあります。

なぜ無料VPNが危険なのか?

収益化のためにユーザーデータを収集・販売

無料VPNの多くは広告収入やデータ販売で運営しており、通信ログや閲覧履歴、位置情報などを第三者に提供するケースがあります。

「ノーログ」と謳っていても、実際には記録を保持している事例もある。

暗号化が甘い・または存在しない場合がある

無料VPNの中には、暗号化を行わず単なるプロキシとして動作するものもある。

通信が平文で流れ、盗聴や改ざんのリスクが高まる。

マルウェアや広告の挿入

無料VPNアプリの中には、広告用のスクリプトやマルウェアを仕込む悪質なものもある。

デバイスがスパイウェア感染し、個人情報が盗まれる事例も報告されている。

速度や安定性が極端に低い

サーバー台数が少なく利用者が集中し、速度が遅い・接続が不安定になりやすい。

無料版は意図的に速度やデータ量に制限が設けられることも多い。

利用規約や法規制の問題

一部の無料VPNは実態が不透明で、運営会社がどこにあるのか不明な場合もある。

個人情報保護法やGDPRなどの規制を順守していない可能性が高い。

実際にあった事例

無料VPN「Hola VPN」が、ユーザーの帯域を勝手に再販売し、ボットネットとして悪用された。

Google Playで配布されていた無料VPNアプリの一部が、スパイウェアや情報収集プログラムを仕込んでいたことが発覚。

どんなリスクがある?

個人情報やブラウジングデータの漏洩

デバイスへのマルウェア感染やスパイ行為

データ改ざんや盗聴による被害

法的な問題や責任のリスク

安全にVPNを利用するためのポイント

無料VPNではなく、信頼できる有料サービスを選ぶ

ノーログポリシーが第三者監査済みのサービス(例:NordVPN、ProtonVPNなど)。

暗号化とプロトコルを確認する

WireGuardやOpenVPN(AES-256暗号化)を使用するVPNが安全。

VPNの評判や監査情報を調べる

運営会社の所在地、プライバシーポリシー、過去の監査報告を確認。

アプリは公式ストアからのみ入手する

非公式サイトや改造版アプリはマルウェアの温床になりやすい。

5. サーバー集中管理型VPNの構造的リスク

サーバー集中管理型VPNの構造的リスクは、従来型VPN(OpenVPNやIPsec VPNなど)に共通する大きな弱点です。

VPNそのものの暗号化が強固でも、構造上の仕組みが攻撃や情報漏洩の原因になることがあります。

サーバー集中管理型VPNとは?

ユーザーの全通信が、中央のVPNサーバーを経由して処理される仕組み。

サーバーが「インターネットへの出口」や「社内LANの入り口」として機能する。

企業やサービスが自前で構築するVPN装置やクラウドVPNもこの構造が多い。

どんなリスクがある?

サーバーが攻撃の標的になる

VPNサーバーが1台でも突破されると、社内ネットワーク全体が外部からアクセス可能になる。

DDoS攻撃やゼロデイ攻撃の対象になりやすく、ダウンすれば全社のリモートアクセスが停止。

サーバーで通信を復号できる場合がある

中継サーバーで暗号化を解除して再送する構造では、運営者や管理者が通信内容を理論上覗ける。

サーバーが侵害されると、通信データがそのまま盗まれる可能性がある。

内部侵入やマルウェア拡散の温床になる

一度VPNを突破した攻撃者は、社内LAN上のPCやサーバーを自由に移動(ラテラルムーブメント)できる。

ランサムウェアが社内に一気に広がる原因になることもある。

パフォーマンスと可用性の問題

すべての通信がサーバー経由なので、サーバーの性能や回線がボトルネックになる。

サーバー障害やメンテナンス時は、全ユーザーが接続不能に。

実際に起きた被害の例

大手企業のVPNゲートウェイが脆弱性を突かれて侵入され、ランサムウェア攻撃で社内ネットワーク全体が暗号化された事例が複数報告。

無料VPNサービスのサーバーがハッキングされ、ユーザーログや平文データが流出した事件もある。

対策・回避方法

VPNサーバーのセキュリティ強化

ファームウェア更新やセキュリティパッチを即時適用。

不要なポートやサービスを閉じる。

ゼロトラスト型のアクセス制御を導入

ACL(アクセス制御リスト)で、ユーザーやデバイスごとに必要最小限のアクセス権限を付与。

「VPNに接続したら全社ネットワークに自由にアクセスできる」状態を防ぐ。

分散型またはP2P型VPNの利用

TailscaleなどのWireGuardベースVPNは、デバイス間を直接接続(P2P)し、サーバーを経由せずにエンドツーエンド暗号化が可能。

運営側や第三者でも通信内容を復号できない。

ログ監視と多要素認証(MFA)の導入

不審なアクセスを検出し、認証情報流出時の侵入を防ぐ。

6. ユーザー側の利用環境・意識の問題

ユーザー側の利用環境やセキュリティ意識の不足も、VPNの脆弱性を招く大きな要因です。

VPNサービス自体が安全でも、利用者の行動や設定が甘ければ攻撃の標的になりやすくなります。

ユーザー側で起きやすい問題

ソフトウェアやアプリの更新を怠る

VPNクライアントやデバイスのOSが古いままだと、既知の脆弱性を突かれて不正アクセスされるリスクが高まる。

非公式・改造アプリを利用する

正規のストア以外から入手したVPNアプリには、スパイウェアやマルウェアが仕込まれている可能性がある。

公共Wi-FiでVPNをオフにする

カフェや空港などのフリーWi-FiをVPNなしで使うと、**盗聴や中間者攻撃(MITM攻撃)**の危険が大幅に上がる。

無料VPNや評判の悪いサービスを利用

無料VPNの中には、ユーザーデータを収集・販売したり、暗号化が不十分なものが多い。

弱いパスワードや認証の使い回し

短いパスワードや他サービスと共通のものを使っていると、総当たり攻撃や情報漏洩から簡単に突破される。

VPNを常時利用せず、必要時だけオンにする

銀行やショッピングの操作時だけVPNを使う人も多く、それ以外の通信が無防備になっている。

これが引き起こすリスク

通信内容の盗聴や個人情報の漏洩

デバイスへのマルウェア感染

フィッシングやなりすましによるアカウント乗っ取り

公共ネットワーク経由でのデータ改ざんやスパイ行為

ユーザーができる対策

VPNクライアント・OSを常に最新化

自動アップデートを有効化して、脆弱性を塞ぐ。

公式ストアからのみアプリを入手

改造版や非公式ソースのアプリは避ける。

VPNを常時オンで利用

公共Wi-Fiや海外滞在時は特に、常に暗号化された接続を維持する。

強固なパスワードと多要素認証(MFA)の利用

パスワードは長く複雑にし、可能な限りMFAを導入。

信頼できるVPNサービスを選ぶ

ノーログポリシーや第三者監査済みのVPNを利用。

まとめ

VPNはセキュリティを高める便利なツールですが、適切に運用しないと攻撃の入口になるリスクもあります。

安全に利用するためには、

  • ソフトウェアの最新化

  • 安全なプロトコルの使用

  • 信頼できるサービスの選択

  • 多要素認証と監視の導入

が重要です。

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