「VPN構成ってそもそもどういうもの?」
「VPNを導入したいけど、どんな仕組みで動いているのかわからない」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットを使って離れた場所同士を安全につなぐ技術です。
しかし、実際に導入するには「どのような構成にすればよいか」が非常に重要になります。
この記事では、
- VPN構成とは何か
- リモートアクセス型と拠点間接続型の違い
- セキュリティを高める構成のポイント
について、初心者にもわかりやすく図解つきで解説します。
企業のネットワーク管理者はもちろん、自宅でVPNを活用したい個人ユーザーにも役立つ内容となっています。
VPN構成とは何か
VPN(Virtual Private Network)構成とは、離れた拠点同士や外部の端末を、安全に企業や自宅のネットワークに接続するためのシステム構成・仕組みのことです。
目的は「安全なデータ通信」と「リモートアクセスの実現」です。
1. VPNクライアント(接続元の端末)
-
利用者がVPNに接続するための機器。
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スマホ・パソコン・タブレット・ルーターなど。
-
VPN専用ソフト(例:Cisco AnyConnect、OpenVPN)やOSの標準機能で接続。
2. VPNサーバー(接続先の装置や機能)
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VPN接続を受け付け、社内ネットワークへのアクセスを仲介するサーバー。
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ファイアウォールやルーターにVPNサーバー機能が搭載されている場合もある。
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例:Windows Serverの「RRAS」、FortiGate、Yamaha RTXなど。
3. トンネリングプロトコル
VPNの通信は「トンネル(仮想経路)」を通して行われます。
このトンネルを作るための通信手順が「トンネリングプロトコル」です。
主な種類と特徴:
| プロトコル | 特徴 |
|---|---|
| PPTP | 古いが設定が簡単。セキュリティは低め。 |
| L2TP/IPsec | セキュリティが高く、企業利用に多い。 |
| OpenVPN | 高い暗号化性能と柔軟性。オープンソース。 |
| WireGuard | 新世代プロトコル。高速かつ設定がシンプル。 |
4. 暗号化方式(セキュリティの要)
VPNでは、通信内容を第三者に見られないよう「暗号化」します。
代表的な暗号化方式:
-
AES(Advanced Encryption Standard):多くのVPNで採用。非常に強力。
-
SHA(Secure Hash Algorithm):認証と整合性チェック用。
5. 認証方式(なりすまし防止)
安全な接続のため、クライアント認証が行われます。
例:
-
ユーザー名+パスワード
-
デジタル証明書
-
ワンタイムパスワード(2段階認証)
VPNのリモートアクセス型と拠点間接続型の違い
「リモートアクセス型VPN」と「拠点間接続型VPN」は、VPNの利用目的や接続方法によって使い分けられる構成です。
それぞれの違いをわかりやすく説明します。
リモートアクセス型VPNとは?
外出先・自宅・出張先などから、安全に社内ネットワークへアクセスするためのVPN。
主な用途:
-
テレワーク・在宅勤務
-
出張先から社内ファイルサーバーにアクセス
-
自宅PCから会社システムに接続
特徴:
-
接続元は「個人のPC・スマホ・タブレット」などの単体端末
-
会社側のVPNサーバーへインターネット経由で接続
-
セキュアなトンネルを通して社内LANと同様の操作が可能
-
多くの場合、ユーザーごとにID・パスワードなどの認証が必要
点間接続型VPN(サイト間VPN)とは?
離れた複数の拠点(本社と支社、店舗など)を常時VPN接続して1つのネットワークとして構成する方法。
主な用途:
-
本社と支店をネットワーク接続したいとき
-
店舗のPOSシステムを本部に集約したいとき
-
複数のオフィスで共有ファイルを安全に使いたいとき
特徴:
-
接続元は「ネットワーク全体(ルーターやVPNゲートウェイ)」
-
両拠点にVPN機器を設置して、拠点間で自動接続
-
利用者は特別な操作をせず、常時VPN経由で通信が可能
イメージ図:
[本社LAN] [支社LAN]
VPNのセキュリティを高める構成のポイント
VPNのセキュリティを高めるには、単にVPNを導入するだけでなく、構成(設計)段階での工夫や対策が非常に重要です。
以下に、VPN構成でセキュリティを強化するための主なポイントをまとめました。
1. 強力な認証方式を採用する
単なるID・パスワードでは不十分
多要素認証(MFA)を導入することで、不正アクセスリスクを大幅に軽減
- パスワード+スマホアプリやワンタイムパスワードなど
2. 暗号化レベルの高いプロトコルを使用する
推奨されるVPNプロトコル:
- OpenVPN(高セキュリティかつ柔軟)
- WireGuard(新世代で軽量・高性能)
- IPSec/IKEv2(企業向けで堅牢)
古いプロトコル(PPTPなど)は避ける
3. VPNゲートウェイの分離とファイアウォールの設定
VPNサーバーを社内LANと分離し、中継層(DMZ)に配置
ファイアウォールやルーターで通信のフィルタリング・制限を行うことで、万が一の侵入被害を最小化
4. 利用端末のセキュリティ対策を徹底
クライアント側のPCやスマホにウイルス対策ソフトを導入
OSやアプリケーションの定期的なアップデートを徹底
社外からのアクセス端末にセキュリティポリシーを適用(MDMやポリシー管理)
5. アクセス制御(アクセス先の限定)
VPNに接続できたとしても、すべての社内リソースにアクセスできないように制限
アクセス権限の最小化(ゼロトラスト思想)を採用
ネットワークセグメントやACLで制御
6. ログの監視と不正検知
VPN接続・切断ログ、認証ログをリアルタイムで監視
異常なログイン試行や深夜の不自然な通信を検知する仕組みを構築(SIEMやEDRなど)
7. 脆弱性への対処(アップデート管理)
VPNサーバーや関連ネットワーク機器(ルーター・ファイアウォール)のファームウェア・ソフトウェアを常に最新に保つ
公開されているCVE(脆弱性情報)に常に注意を払う
8. 同時接続数や国別アクセスの制限
一人のユーザーが同時に複数端末からVPNに接続しないよう制限
海外からの接続制限を導入することで、不正アクセスの可能性を下げる
まとめ
VPN構成は、安全性・利便性を両立させるための「設計図」ともいえる重要な要素です。
利用目的や規模に応じて、適切な構成を選びましょう。
セキュリティを強化したVPN構成にすることで、リモートワークでも安心して業務ができる環境を整えることができます。
導入時は、信頼できるVPNサービスや専門業者に相談するのもおすすめです。





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