在宅勤務中に「VPNが接続できない」「会社のネットワークに繋がらない」というトラブルは珍しくありません。
原因はネット環境の不安定さだけでなく、VPNアプリの設定ミスやセキュリティソフトの干渉、会社側サーバーの混雑など多岐にわたります。
放置すると業務が進まないだけでなく、セキュリティリスクが高まることもあります。
この記事では、在宅勤務でVPN接続ができない時に考えられる主な原因と今日からすぐ実践できる対処法を分かりやすく解説します。
テレワーク初心者の方はもちろん、急な接続トラブルに困っている方にも役立つ内容です。
まずは、原因を一つずつ切り分けながら、最短でVPN接続を復旧させましょう。
目次
在宅勤務でVPN接続できない原因と対処法
ここからは、在宅勤務でVPN接続できない原因と対処法を解説していきます。
1. 自宅のWi-Fi環境が不安定
VPNは通常の通信よりも負荷が高く、Wi-Fiの電波が弱いと接続が確立できない・頻繁に切断される・速度が極端に遅くなるといったトラブルが起こりやすくなります。
特に在宅勤務では以下のような状況が原因となることが多いです。
- ルーターとPC/スマホの距離が遠い
- 壁や家具などの障害物による電波の減衰
- 家族の同時ネット利用による帯域不足
- 2.4GHz帯の混雑
- 電子レンジやBluetoothの電波干渉
- ルーターの長時間稼働によるフリーズ
対処法
▷ ルーター/ONUを再起動する
最も効果が高く、VPNが急に不安定になったときはまず試すべき方法です。
電源を抜いて30秒待って再接続するだけで改善することが多くあります。
▷ ルーターの近くで接続する
Wi-Fiは距離や障害物に弱いため、可能ならルーターの近くで作業するだけで通信が安定します。
▷ 5GHz帯に切り替える
2.4GHz帯は混雑しやすく遅くなりがちです。
「SSID(Wi-Fi名)に 5G とついた接続先」を選ぶことで高速化が期待できます。
▷ LANケーブルで有線接続する
在宅勤務で安定性を求めるなら最も効果的な方法。
VPN接続の途切れが大きく改善されます。
▷ 同時接続端末を減らす
家族の動画視聴やオンラインゲームがあると帯域不足の原因に。
作業中だけでも接続台数を減らすと安定します。
▷ Wi-Fi中継器やメッシュWi-Fiを導入
自宅の間取りが広い・ルーターと作業場所が離れている場合に有効。
2. VPNアプリの不具合・設定ミス
在宅勤務で利用されるVPNクライアント(Cisco AnyConnect、GlobalProtect、FortiClient、OpenVPN など)は、設定が少しでも間違っていたり、アプリが不安定になると接続に失敗することがあります。
特に次のようなケースがよく発生します。
- サーバーアドレスの入力ミス
- 社内から配布された設定ファイル(.ovpnなど)が古い
- VPNアプリがフリーズしている
- 認証方式(証明書/パスワード)が異なる
- プロトコル(IKEv2・OpenVPN・SSL-VPN)の相性問題
- 最新OSとの互換性トラブル
VPNアプリはネットワーク条件に敏感なため、些細な設定違いでも既に通信が遮断されます。
対処法
▷ アプリを完全終了し、再起動
タスクマネージャーで強制終了してから再起動すると復旧することが多いです。
▷ アプリの最新版にアップデート
バージョンが古いとOS側のアップデートと相性が合わず、急に接続できなくなる現象がよくあります。
▷ 正しい設定ファイル・接続情報を再読み込み
社内IT担当者が配布している最新の設定データを使用しているか確認しましょう。
※パスワード変更後は要再入力。
▷ プロトコルを変更してみる
VPNの種類によっては通信環境との相性があります。
例:
- OpenVPN → IKEv2 に変更
- SSL-VPN → IPSec に変更
回線との相性で、別プロトコルなら安定することは珍しくありません。
▷ 証明書が期限切れになっていないか確認
証明書認証を使う会社では、期限切れの証明書が原因で接続拒否されるケースがあります。
▷ 会社のIT部門に設定内容を確認
設定が正しいかどうか自分では判断できない場合、管理部門に相談するのが最も確実です。
3. 会社側のVPNサーバーが混雑・障害
在宅勤務でVPN接続ができない原因として非常に多いのが、会社側のVPNサーバーの混雑や障害 です。
特に以下の状況では接続が不安定になりやすくなります。
- 始業時間の前後など、社員の同時ログインが多い時間帯
- 週明けや大型連休後のアクセス集中
- サーバー容量・同時接続枠の上限超過
- メンテナンス作業中
- VPNゲートウェイ機器の故障
- 企業ネットワーク内の障害
VPNは同時接続数に上限があることが多く、上限を超えると「接続できません」「認証に失敗しました」などのエラーが表示されることがあります。
対処法
▷ 別のVPNサーバーが用意されている場合は切り替える
多くの企業では複数のVPNゲートウェイを用意しているため、別サーバーに切り替えると接続できる場合があります。
▷ 接続する時間帯をずらす
朝の9時前後、昼休憩明けは最も混雑します。
10~15分時間をずらすだけで繋がることも多いです。
▷ 会社のIT部門・ヘルプデスクに障害状況を確認
障害情報は社内掲示板、メール、Teams、Slack などでアナウンスされることがあります。
▷ サーバー側のメンテナンス情報を確認
予定メンテナンス中は接続不可になるため、事前情報をチェックしましょう。
▷ 社内ネットワーク全体の障害の可能性もある
VPNに限らず、社内システム全体が不安定なこともあります。
他のサービス(社内ポータル、メール、Teams など)が繋がらない場合は広範囲の障害です。
4. セキュリティソフト・ファイアウォールのブロック
在宅勤務でVPN接続ができない原因として意外と多いのが、ウイルス対策ソフトやWindows/Macのファイアウォールが通信を遮断しているケース です。
企業VPNは特定のプロトコル(IKEv2、L2TP/IPsec、SSL-VPN など)を使用するため、セキュリティソフトが「不審な通信」と判断し、以下のような動作をすることがあります。
- VPNアプリの通信をブロック
- 特定のポートを遮断
- IPsec通信を妨害
- 企業VPNアプリを不審なプログラムとして隔離
- Windows Defender の「ネットワーク保護」がVPNを遮断
特に以下のソフトで発生することがあります。
- Norton
- McAfee
- ESET
- ウイルスバスター
- Windows Defender ファイアウォール
- Macのファイアウォール設定
VPN接続画面で「タイムアウト」「認証エラー」「サーバーに到達できません」といった表示が出る場合、この原因が疑われます。
対処法
▷ 1. セキュリティソフトの「例外設定」にVPNアプリを追加
VPNアプリ(Cisco AnyConnect、GlobalProtect、FortiClientなど)を許可リストに追加します。
例:
- Norton → “例外(除外項目)” にVPNアプリを追加
- Windows Defender → “アプリを許可する” にVPNアプリを登録
▷ 2. ファイアウォールを一時的にオフにして接続テスト
完全にオフにする必要はなく、一時的に無効化して繋がるかチェックします。
※テスト後は必ずオンに戻す。
▷ 3. ルーター側のファイアウォール設定を確認
自宅ルーターが VPN 通信(特にIPsec)を遮断していることもあります。
次の項目を確認
- IPsec パススルーがオンか
- PPTP パススルーがオンか
- SPI(ファイアウォール機能)が強すぎないか
▷ 4. 会社が指定するセキュリティソフト以外は使用しない
企業によっては VPN と相性の悪いソフトを禁止しているケースもあります。
▷ 5. 会社のヘルプデスクに「ログ」付きで相談
VPNアプリのログを送ると原因が早く特定できます。
5. 自宅ルーターの設定がVPNに非対応
在宅勤務でVPNが繋がらない場合、意外と多いのが自宅ルーター自体がVPN通信(IPsec / L2TP / PPTP など)を正しく通さないというケースです。
一般家庭向けルーターには、セキュリティ強化のため以下のような設定が初期状態でオフになっていることがあります。
- IPsecパススルー(企業VPNに必須)
- L2TPパススルー
- PPTPパススルー
- SPI(ファイアウォール機能)が強すぎる
- VPN通信を遮断する省エネモード
- IPv6接続時にVPNが通らない仕様
特にIPsecベースの企業VPN(L2TP/IPsec、Cisco、FortiClientなど)を使う場合、ルーターが対応していないと接続自体が失敗します。
症状としては、
- 「VPNサーバーに到達できません」
- 「接続タイムアウト」
- 「認証情報が無効です」
- 「サーバーが応答しません」
などが出ることが多いです。
対処法
▷ 1. ルーター管理画面で「パススルー設定」を確認
管理画面にアクセスして下記設定がONになっているか確認します:
- IPsec パススルー
- L2TP パススルー
- PPTP パススルー
※企業VPNはほとんどの場合「IPsecパススルー」が必須。
メーカー別の項目例
- NEC Aterm:高度な設定 → パススルー設定
- BUFFALO:詳細設定 → セキュリティ → パススルー
- TP-Link:詳細設定 → NAT転送 → パススルー
▷ 2. ルーターのIPv6モードを一度オフにしてみる
IPv6(IPoE)環境では、一部VPNが正常に動作しません。
PPPoE(IPv4)に切り替えると接続できる場合があります。
▷ 3. ルーターの再起動・初期化
設定が壊れてVPNだけ通らなくなることもあるため、以下を実施:
- 電源を入れ直す
- ファームウェアを最新に更新
- 設定をリセットして再設定する
▷ 4. 古いルーターは買い替えで解決
5年以上前のルーターは企業VPNとの相性が悪いことが多いため、「IPsec対応ルーター」 に買い替えると改善されます。
▷ 5. スマホのテザリングで接続できるか試す
ルーターを疑う最も簡単なチェック方法
- PCをスマホのテザリングに接続
- VPNを起動
- 問題なく繋がれば、原因は自宅ルーター側
6. デバイスの時刻ズレ・古いOS/ブラウザ
VPN接続では、証明書の検証や暗号化通信のやり取りに正しい時刻設定が必須です。
そのため、PC・スマホの時計がずれていると、以下のようなエラーが発生します。
- 証明書エラー
- セキュリティトークンの認証失敗
- VPNクライアントの「時刻が正しくありません」という警告
- ログインはできるがVPN接続だけが失敗する
また、OSやブラウザが古い場合は、暗号化方式が非対応で接続できない・VPNアプリが正常に動作しないなどのトラブルも起こります。
企業VPNはセキュリティ基準が厳しく、「古いOSは接続拒否」のルールを採用している会社も多いため要注意です。
対処法
▷ 1. デバイスの時刻設定を「自動」にする
Windows・Mac・iPhone・Android のすべてで「自動で時刻を設定」にすればほぼ解決します。
特に在宅勤務では、ノートPCを長期間スリープしたままだと時計ズレが起きやすいため、一度再起動して時刻を合わせるのが有効です。
▷ 2. OSを最新バージョンに更新
古いOSは以下の問題を起こしやすいです:
- VPNアプリの新バージョンに非対応
- 暗号化プロトコル(TLS)が旧式
- セキュリティ証明書を処理できない
Windows 10/11、macOS、iOS、Androidは、必ず最新アップデートにしておきましょう。
▷ 3. ブラウザも最新版へ
ブラウザ経由で認証するVPN(Azure AD・Google Workspaceなど)は、古いブラウザだとログインが完了してもVPNだけ繋がらない場合があります。
特に注意が必要な例
- 古いEdge(レガシー版)
- 更新していないChrome
- 古いSafari
VPN認証画面が動かない場合はブラウザ更新が必須です。
▷ 4. VPNアプリを最新バージョンにアップデート
時刻ズレはVPNアプリ側で補正されるケースもあるため、最新バージョンに更新すると一発で直ることがあります。
▷ 5. 再起動して状態をリセット
時刻と証明書キャッシュがズレている場合、「再起動だけで解決」するケースも多いです。
7. アカウント情報や証明書の不一致
在宅勤務のVPN接続では、社員アカウント(ID・パスワード)やセキュリティ証明書(証明書ファイル・トークン) が正しく認証されないケースがよくあります。
特に以下の状況でエラーが発生しやすくなります。
- パスワードを最近変更したが、PC側の設定が古いまま
- 会社側でアカウント権限が変更・停止されている
- VPN接続に必要な証明書の期限切れ
- 証明書ファイルを誤って削除した
- 多要素認証(SMS/アプリ認証)が一致していない
- 複数のVPN設定が残っていて、誤った設定を選択している
特に証明書の期限切れは見落としがちで、VPNアプリが「エラーコード◯◯」と表示するだけで原因が分かりにくいことが多いです。
対処法
▷ 1. ログイン情報(ID・パスワード)を再入力する
VPNアプリに保存された古いパスワードが原因の場合があります。
パスワード変更後の初回は必ず手入力でログインを試してください。
▷ 2. 会社側アカウントの状態を確認
以下の可能性もあるため、情シス(管理者)に問い合わせるのも有効です。
- アカウントがロックされている
- 端末認証の対象外になっている
- 会社側VPNサーバーに登録されていない
- アクセス権限が変更された
特に勤怠の未申請や長期休暇後にロックされる会社もあります。
▷ 3. VPN用証明書が有効かチェック
証明書は以下を確認しましょう。
- 期限切れになっていないか
- 正しい証明書がインストールされているか
- 端末移行時にコピーし忘れていないか
- 「証明書ストア」に複数証明書が残って衝突していないか
証明書は特に在宅勤務でPCを交換したときにトラブルが多発します。
▷ 4. 多要素認証(MFA)を再設定
Microsoft Authenticator・Google Authenticator等のアプリ認証が原因でVPN接続が失敗するケースがあります。
例
- スマホ側の認証アプリを機種変更して未設定
- 認証通知が届いていない
- 認証コードの時刻ズレ
その場合、会社のポータルから再設定すれば解決します。
▷ 5. VPN設定を削除して作り直す
古い構成が残っていると接続エラーの原因になります。
手順の例
- OSのVPN設定を一度削除
- 会社から配布されたプロファイルを再インストール
- 証明書を再登録
- 最新のVPNアプリで再接続
構成をリセットするだけで一発で直ることも多いです。
まとめ
在宅勤務でVPNに接続できない原因の多くは、自宅のネット環境・VPNアプリの設定ミス・会社側サーバーの混雑 など、身近なところにあります。
特にWi-Fiの不安定さやVPNアプリの不具合、証明書の期限切れは非常に多いトラブル要因です。
まずは、
- Wi-Fiの再起動
- VPNアプリの更新
- サーバー変更
- セキュリティソフトの確認
など、今回紹介した基本的な対処法を順番に試してみてください。
それでも解決しない場合は、会社の情シス担当へ問い合わせるのが最も確実な方法です。
アカウント権限やサーバー側の障害など、利用者側では気づけない原因が潜んでいることもあります。
在宅勤務を快適に進めるためにも定期的にVPN環境を見直し、安定した接続ができるよう準備を整えておきましょう。





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