自宅やオフィスに設置したSynology NASに、外出先から安全にアクセスしたいと考えている方は多いでしょう。
しかし、NASをインターネットに直接公開すると、ハッキングや不正アクセスのリスクが高まります。
そこで効果的なのが、VPN(仮想プライベートネットワーク)を使った接続です。
VPNを設定することで、外部からでも安全な通信トンネルを通じてNASにアクセスできるようになります。
この記事では、
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Synology NASにVPNを設定するメリット
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実際の設定方法
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利用時に注意すべきポイント
をわかりやすく解説します。
外出先からでも安心してSynology NASを活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Synology NASとは
Synology NASとは、ネットワーク経由でアクセスできる高機能な外部ストレージ装置のことです。
簡単に言うと、
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パソコンやスマホから
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家の中でも外出先からでも
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いつでもデータ保存・管理・共有ができる専用サーバー
のようなものです。
【ポイント】
→ 単なるデータ保存だけでなく、バックアップ・メディアサーバー・リモートアクセス・VPNサーバーなど多彩な機能を備えています。
主な特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
高度なデータ管理機能 | RAID構成、バックアップ、自動同期 |
外部アクセスが可能 | インターネット経由でデータ利用 |
多機能アプリケーション対応 | メディアサーバー、クラウド同期、VPN機能など |
セキュリティ対策が充実 | アクセス制御、暗号化、2段階認証対応 |
直感的な管理画面 | DSM(DiskStation Manager)というわかりやすいOS搭載 |
Synology NASにVPNを設定するメリット
Synology NASは自宅やオフィス内のネットワークに接続して利用するのが基本ですが、外出先から安全にアクセスしたいというニーズも高まっています。
そこで重要になるのが、VPN(仮想プライベートネットワーク)設定です。
NASにVPNを設定することで、通信の安全性と利便性が大きく向上します。
ここでは、Synology NASにVPNを設定する主なメリットをわかりやすく解説します。
1. リモートアクセス時の通信を暗号化できる
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VPNを使えば、NASと接続する通信はすべて暗号化されます。
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公共Wi-Fiや外部ネットワーク経由でも、第三者にデータを盗み見られる心配がなくなります。
【効果】
→ 外出先からでも安全にファイルへアクセス・管理できる。
2. インターネットにNASを直接公開しなくて済む
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VPN接続を使えば、NASのポートを外部に直接開放する必要がありません。
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セキュリティリスク(ハッキング、ブルートフォース攻撃)を大幅に減らせます。
【効果】
→ NASをインターネット上で「見えない存在」にできるので、安全性が飛躍的に向上。
3. 自宅ネットワークに安全に入れる
VPNに接続することで、まるで自宅LANにいるかのようにNASだけでなく、他のプリンターやPCにもセキュアにアクセスできる環境を作れます。
【効果】
→ ファイル共有、バックアップ、メディアサーバーへのアクセスが自宅と同じ感覚で可能。
4. 特定の国・地域からのアクセス制限を回避できる
VPNで接続すれば、自宅のIPアドレス経由でNASにアクセスするため、海外旅行中でも日本にいるのと同じ環境でNASを利用できます。
【効果】
→ 地理的制限に縛られず、どこからでも自由にデータにアクセス可能。
5. VPNクライアントとしても利用できる
Synology NAS自身をVPNクライアントに設定すれば、NASからインターネットへ出る通信も暗号化できます。
【効果】
→ NASを使ったクラウドバックアップや外部連携も、安全な通信経路を確保できる。
Synology NASにVPNを設定する方法
Synology NASをより安全にリモートアクセスするためには、VPN(仮想プライベートネットワーク)を設定して、通信を暗号化することが重要です。
ここでは、Synology NASにVPNを設定する具体的な方法を、初心者にもわかりやすくまとめます。
方法1:Synology NASに「VPNサーバー機能」を設定する(自宅VPNサーバー化)
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DSM(DiskStation Manager)にログイン
ブラウザでNASのIPアドレスにアクセスしてログインします。 -
パッケージセンターから「VPN Server」をインストール
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「VPN Server」と検索し、インストールします。
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VPNプロトコルを選択して有効化
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OpenVPN、L2TP/IPsec、PPTPから選べます。
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セキュリティ重視ならOpenVPNまたはL2TP/IPsec推奨。
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ユーザー権限を設定
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VPN接続を許可するユーザーアカウントを指定します。
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ルーターでポート開放設定を行う
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例:OpenVPNの場合、UDPポート1194を開放。
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セキュリティ対策として、ポート開放は最小限に抑えましょう。
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クライアントデバイスからVPN接続設定を行う
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PC、スマホにVPN設定をして、NASに安全に接続します。
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方法2:Synology NASを「VPNクライアント」として設定する(外部VPNサービス利用)
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DSMにログイン
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コントロールパネルを開く → ネットワーク → ネットワークインターフェース
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「作成」→「VPNプロファイルを作成」を選択
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外部VPN情報を入力(例:OpenVPN、L2TP/IPsec)
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VPNサーバーアドレス、認証情報、証明書ファイルなどを設定。
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接続を開始する
これにより、NAS自体が外部VPNネットワーク経由で通信するため、NASからインターネットに出る通信も安全に暗号化されます。
Synology NASのVPN利用時に注意すべきポイント
Synology NASにVPNを設定すると、外出先からのアクセスが安全になり、NAS運用の利便性とセキュリティを大きく高めることができます。
しかし、VPN設定や利用にはいくつか注意点も存在します。
ここでは、Synology NASのVPN利用時に気をつけるべきポイントをわかりやすくまとめます。
1. セキュリティの弱いVPNプロトコルを使わない
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PPTP(古いプロトコル)は暗号化が脆弱で、ハッキングリスクが高いため非推奨。
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OpenVPNかL2TP/IPsecなど、現代的で強力な暗号化プロトコルを使いましょう。
【ポイント】
→ セキュリティ重視ならOpenVPN推奨。
2. 強力なパスワード・ユーザー管理を行う
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VPN接続用アカウントは、必ず長く複雑なパスワードを設定。
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不要なユーザーにはVPN接続権限を与えない。
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二段階認証(2FA)も設定できる場合は導入する。
【ポイント】
→ アカウント管理の甘さはVPN経由の侵入リスクを高めます。
3. ルーター側のポート開放設定に注意する
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VPN接続にはポート開放が必要ですが、開放するポートは必要最小限に限定しましょう。
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ポートスキャンや攻撃対象になりにくくするため、
セキュリティ対策を施したルーターを使うことも重要です。
【例】
→ OpenVPNならUDP 1194番のみ開放。
4. VPN ServerアプリやDSMを最新状態に保つ
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VPN ServerアプリやDSM(DiskStation Manager)は、定期的に更新されます。
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セキュリティホールを放置すると、VPN経由でも攻撃されるリスクが高まります。
【ポイント】
→ アップデート通知が来たら早めに適用しましょう。
5. 接続ログを適切に管理する
VPNの接続ログを記録しておけば、万一の不正アクセス時に原因追跡や対策が取りやすくなります。
【注意】
→ ログ保存期間は必要に応じて設定し、プライバシーにも配慮しましょう。
6. VPN経由のアクセス権を制限する
VPN接続後にアクセスできるNAS内のフォルダや機能を制限することで、万が一アカウントが漏洩した場合でも被害を最小限に抑えられます。
【例】
→ 重要なフォルダへのアクセス権限は最低限のユーザーにだけ付与。
最後に
Synology NASにVPNを設定すれば、外出先からでも安心してファイルアクセスやデータ管理ができる環境を構築できます。
安全性を確保するためにも、プロトコル選びやセキュリティ設定には十分注意しましょう。
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