「SASE(サッシー)」という言葉を最近よく聞くけれど、いったい何?VPNと何が違うの?
リモートワークやクラウドサービスの普及にともない、会社のネットワークを守る方法も大きく変わってきました。
このページでは、SASEの基本的な考え方やVPNとの違い、どんな場面で役立つのかを初心者にもわかりやすく解説します。
「難しそう…」と感じている方でも、読みながら理解できるように丁寧に紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
SASEとは?
SASE(サッシー)とは、Secure Access Service Edge(セキュア・アクセス・サービス・エッジ)の略で、クラウド時代に合わせて登場した「ネットワークとセキュリティを一体化した新しい考え方」です。
簡単に言うと、インターネット経由でも、安全かつ効率的に社内システムやクラウドサービスへアクセスできる仕組みを提供します。
なぜ注目されている?
従来は、会社のネットワーク内で仕事をすることが前提だったため、VPNで本社に接続する方法が一般的でした。
しかし現在は、次のような変化が起きています。
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リモートワークが増えた
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クラウドサービス(Google Workspace、Microsoft 365など)の利用が当たり前に
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社員がどこにいても仕事をする時代に
こうした背景から、「本社経由でアクセスする旧来のVPN方式では非効率・不安定」という問題が出てきたのです。
そこで登場したのが SASE。
ネットワークもセキュリティも、クラウド上で一元管理できるのが特徴です。
主な構成要素
SASE(Secure Access Service Edge)の主な構成要素は、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合したものです。
以下に、SASEを構成する代表的な技術や機能をわかりやすく解説します。
機能名 | 説明 | 主な役割 |
---|---|---|
SD-WAN | 高速で安定したネットワーク接続を実現 | 複数拠点・クラウドを効率よくつなぐ |
SWG | 危険なウェブサイトへのアクセスをブロック | ウイルス・不正サイト対策 |
CASB | クラウドサービスの利用を監視・制御 | 情報漏洩防止・シャドーIT対策 |
ZTNA | ユーザーや端末を確認してからアクセスを許可 | ゼロトラスト(信用しない設計) |
FWaaS | クラウド上で動くファイアウォール機能 | ネットワーク全体のセキュリティ強化 |
従来はバラバラに管理していたこれらのセキュリティ・ネットワーク機能を、SASEはすべてクラウド上に統合。
その結果、どこからでも安全・効率的にアクセスできる環境が実現します。
SASEとVPNの違いを詳しく解説
クラウドやリモートワークが一般的になった現在、企業のネットワークセキュリティも大きく変わってきました。
その中でよく比較されるのが、「SASE(Secure Access Service Edge)」と「VPN(Virtual Private Network)」です。
両者の違いは仕組み・柔軟性・セキュリティの考え方にあります。
1. 接続の仕組みの違い
項目 | SASE | VPN |
---|---|---|
接続方法 | インターネット経由で直接クラウドや社内アプリに接続 | 本社ネットワークに一度つなぎ、その後アクセス |
ネットワーク経路 | 拠点やユーザーに近い場所で最適な接続点を選ぶ(エッジ接続) | 全ての通信が本社やデータセンターを経由(集中型) |
速度と効率 | 最短ルートで通信するため高速・低遅延 | 本社集中による通信の混雑、遅延リスクあり |
VPNは「どこにいても会社にいるように見せかける」接続ですが、すべての通信が本社を経由するため混雑しやすく、クラウド利用には不向きです。
一方、SASEは「最寄りのクラウドポイントで判断・接続」するため、どこからでもダイレクト&安全な接続が可能です。
2. セキュリティの考え方の違い
項目 | SASE | VPN |
---|---|---|
基本思想 | ゼロトラスト(誰も信用せず、常に検証) | 社内ネットワーク=安全という前提(信頼モデル) |
アクセス制御 | ID・端末・場所を都度確認して細かく制限(ZTNA) | 接続後は広範囲にアクセス可能(アクセス制御が甘くなる) |
セキュリティ機能 | ZTNA, SWG, CASB, FWaaSなどを統合 | ウイルス対策・ファイアウォールなどは別に必要 |
SASEは「アクセスする人・端末を毎回チェックしてから接続を許可」する考え方。
VPNは「一度つながれば社内のあらゆるシステムに入れる」ため、万が一侵入されると被害が広がりやすいです。
3. 運用・拡張性の違い
項目 | SASE | VPN |
---|---|---|
管理方法 | クラウド上で一元管理できる | 各拠点・端末ごとに設定が必要 |
拠点の追加 | インターネットにつながればすぐ使える | 拠点追加には専用機器や設定が必要 |
メンテナンス | ベンダー側で自動アップデート(管理の手間が少ない) | 自社で定期的にアップデート・保守が必要 |
SASEは、新しい拠点や社員が追加されても簡単に対応できるスケーラブルな仕組み。
VPNはルーターや専用機器の設定が必要で、IT部門の負担が増えがちです。
SASEが向いている企業の特徴
SASEが向いている企業の特徴は、次のとおりです。
1. リモートワークやテレワークが多い企業
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社員が会社の外(自宅・出張先など)から業務システムにアクセスする機会が多い
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VPNだと通信が不安定・遅くなるという課題がある
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セキュリティを担保しながら、どこからでも業務を行いたい
SASEなら、ユーザーの場所に関係なく安全にアクセス可能&通信の最適化も実現
2. クラウドサービスを多用している企業
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Google Workspace、Microsoft 365、Dropbox、Salesforceなどを業務に活用している
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社内ネットワークに戻るVPN経由より、クラウドに直接アクセスしたい
SASEはクラウドと直接つなげる設計なので、効率的かつセキュアにクラウドを活用可能
3. 複数拠点・海外拠点がある企業
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支店・営業所・海外子会社など、広範囲にネットワークを持っている
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各拠点で個別にVPNやセキュリティ対策をしており、運用・管理がバラバラ
SASEはクラウドベースで一元管理できるため、どの拠点でも統一されたセキュリティを提供可能
4. セキュリティポリシーを強化したい企業
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ゼロトラストの導入を検討している
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ユーザーや端末ごとの細かいアクセス制御を実現したい
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ランサムウェア・情報漏洩などのリスクに対し、より高度な対策を取りたい
SASEにはZTNA・CASB・SWGなどが含まれ、高度なセキュリティを標準で提供
5. ITリソースが限られている中小企業・ベンチャー
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情報システム担当者が少なく、VPNやファイアウォールの運用に手が回らない
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管理の手間やコストを抑えたい
SASEはクラウド上で一元管理・自動アップデートされるため、運用負担を軽減できる
以下のような企業は今すぐSASEに移行しなくてもよい場合があります。
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社員全員が社内からアクセスしている(完全オフィス勤務)
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クラウドサービスを使っておらず、すべてオンプレミス
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ネットワークが小規模でVPNでも十分足りている
まとめ
SASEは、VPNの弱点を補いながら、現代の働き方に対応する柔軟でセキュアな仕組みです。
VPNだけでは不十分だと感じている企業にとって、SASEは次のステップとして大きな選択肢となるでしょう。
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