フレッツ光回線を利用した法人向けVPNサービス「フレッツ・VPN ワイド」
拠点間通信をセキュアかつ安定して行いたい企業にとって、低コストで構築できる閉域ネットワークとして注目されています。
しかし、「IP-VPNやインターネットVPNとどう違うの?」「どんな企業に向いているの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フレッツ・VPN ワイドの基本的な仕組みやメリット・デメリット、他VPNサービスとの違いを初心者にもわかりやすく解説します。
社内ネットワークの見直しや拠点間通信の強化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
フレッツ・VPN ワイドとは
フレッツ・VPN ワイドとは、NTT東日本・西日本が提供する法人向けの閉域網(クローズドネットワーク)サービスです。
インターネットを経由せず、NTTのフレッツ網(NGN)を活用して複数拠点間をセキュアに接続できるのが大きな特徴です。
項目 | 内容 |
---|---|
提供元 | NTT東日本・NTT西日本 |
接続方式 | フレッツ光のNGN網(閉域)を使ったL3 VPN |
利用対象 | 法人・自治体・教育機関など |
主な用途 | 拠点間通信、クラウド接続、IP電話、ファイル共有など |
通信経路 | インターネット非経由(閉域網)なので第三者に通信を傍受されにくい |
主な特徴
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セキュア:通信がインターネットを通らず閉域網内のみで完結
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安価:IP-VPNや専用線よりもコストを抑えて構築可能
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柔軟性:最大1,000拠点以上の大規模ネットワークにも対応
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QoS対応:音声・映像・データなどのトラフィック制御が可能(オプション)
フレッツ・VPN ワイドのメリットとデメリット
以下は、フレッツ・VPN ワイドのメリットとデメリットをわかりやすく整理した解説です。
導入を検討する企業・団体向けに、安全性・コスト・柔軟性などの観点から比較しています。
メリット
1. インターネットを介さない安全な通信
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NTTの閉域網(NGN)を利用するため、通信がインターネットを通らず盗聴・改ざんのリスクが低い
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機密情報をやりとりする業種(医療・行政・教育など)に最適
2. コストを抑えて構築できる
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専用線やIP-VPNに比べて月額料金が安価
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初期費用や運用負担も比較的軽いため、中小企業でも導入しやすい
3. 最大1,000拠点以上の接続に対応
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大規模な多拠点構成が可能
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支店や店舗、拠点が増えても柔軟にネットワークを拡張できる
4. QoS機能で通信を最適化
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音声や映像などのリアルタイム通信に優先順位をつけて安定化
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IP電話やWeb会議システムの品質確保に有効(オプション)
5. フレッツ光との連携で導入しやすい
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各拠点でフレッツ光が使える地域であればすぐに導入可能
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既存の回線インフラをそのまま活用できる
デメリット
1. フレッツ光のエリア外では使えない
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フレッツ光が未提供の地域・拠点では利用不可
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特に離島や一部の山間部では導入が難しい場合もある
2. セキュリティは「暗号化」ではなく「閉域」で担保
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インターネットVPNのようにデータ自体を暗号化しているわけではない
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万が一NGN網内での障害や不正アクセスが起きた場合の対策は別途必要
3. 公開Webサイトなどとは接続不可
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インターネットに接続しない設計のため、社内用システム向けが中心
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Webサービスとの連携をする場合は別途インターネット接続の手段が必要
4. 機器の設定や運用に専門知識が必要なことも
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拠点ごとのルーターやネットワーク設定が必要
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保守・設定変更などでネットワーク管理者の知識が求められる場合も
フレッツ・VPN ワイドの使い方
以下は、「フレッツ・VPN ワイドの使い方」について、導入から利用までの基本的な流れをわかりやすく解説したガイドです。
法人や団体のIT担当者向けに、実際の運用イメージがつかめるように整理しています。
ステップ1:サービス契約・利用申込
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NTT東日本またはNTT西日本に「フレッツ・VPN ワイド」を申し込みます。
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拠点ごとに「フレッツ光回線」の契約が必要です(Bフレッツ/光ネクストなどが対応)。
ステップ2:ネットワーク構成を設計
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接続したい拠点数や拠点ごとの役割(本社・支社・店舗など)に応じて、ネットワークトポロジー(構成図)を設計します。
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ルーターなどのVPN対応機器や、IPアドレスの割り振りもこの段階で決定します。
ステップ3:ルーター・機器の設定
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各拠点にVPN対応ルーターやONU(回線終端装置)を設置します。
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機器に、NTTから提供されるVPN接続情報(拠点IDやIP設定など)を登録します。
一部機器は「VPN広域網自動設定ツール(ネットボランチDNS対応ルーター等)」を使えば設定が簡略化されます。
ステップ4:拠点間の接続を確認
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設定が完了したら、本社と支店、各拠点間での通信が確立しているかを確認します。
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Pingテスト、ファイル共有、社内システムへの接続確認などを実施。
ステップ5:運用・管理
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通信ログや利用状況を定期的に確認し、トラブル発生時には各拠点の設定をチェック。
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拠点の追加・削除、ルーターの再設定が必要な場合は、管理者が設定を更新します。
フレッツ・VPN ワイドと他VPNサービスとの違い
VPNと一口に言っても、「フレッツ・VPN ワイド」「IP-VPN」「インターネットVPN」など種類によって通信経路・セキュリティ・コスト・安定性が大きく異なります。
項目 | フレッツ・VPN ワイド | IP-VPN | インターネットVPN |
---|---|---|---|
通信経路 | フレッツ光の閉域網(NGN) | 通信キャリアの専用閉域網 | 公開インターネット経由 |
セキュリティ | 高(インターネット非経由) | 非常に高(専用網) | 中〜低(暗号化必須) |
通信の安定性 | 安定(QoS対応あり) | 非常に安定(高品質回線) | 不安定になりやすい(回線状況に左右) |
最大拠点数 | 約1,000拠点以上 | 数十〜数百拠点 | 拠点数制限なし |
初期・月額コスト | 中(比較的安価) | 高(専用網のため) | 低(VPN機器のみで導入可能) |
構築・設定のしやすさ | 中(ルーター設定必要) | 難(専用機器・専門知識が必要) | 容易(アプリやソフトで導入可能) |
インターネット接続 | 原則なし(別途用意が必要) | 原則なし | あり(そのまま外部アクセス可能) |
主な用途 | 拠点間の業務通信・クラウド接続など | 官公庁・金融・大企業の基幹システムなど | テレワーク・小規模オフィスなど |
各サービスの適した利用ケース
サービス名 | 向いているケース |
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フレッツ・VPN ワイド | フレッツ光が導入済の中堅企業/支店間で安価に閉域通信を実現したい法人 |
IP-VPN | 高セキュリティ・高品質な専用網を求める大企業・自治体・金融機関 |
インターネットVPN | テレワーク/海外拠点/外出先からの一時的な接続が多い中小企業・個人事業主など |
まとめ
「セキュア・安定・低コスト」な拠点間通信を実現したい企業にとって、フレッツ・VPN ワイドはバランスの取れた選択肢です。
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拠点間で社内システムやファイルサーバーを共有したい
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IP電話やクラウドを安全に使いたい
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コストを抑えてネットワーク構築したい
といったニーズにぴったりです。
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