クラウドストレージサービス「Box」は、ビジネスシーンで広く活用されていますが、情報漏洩や不正アクセスへの懸念から「VPN経由で接続したい」と考える企業も少なくありません。
そこで注目されているのが「Box over VPN」という構成です。
Box over VPNとは、Boxの通信を企業のVPN経由で制御し、アクセスを閉域網に限定するセキュアな運用方法です。
この記事では、Box over VPNの仕組みや導入メリット、設定時の注意点について、情報システム部門やセキュリティ担当者向けにわかりやすく解説します。
目次
Box over VPNとは?
Box over VPNとは、企業向けクラウドストレージ「Box」への通信を、VPN(仮想専用線)を経由して行うネットワーク構成のことです。
これにより、Boxへのアクセスを社内ネットワークや特定の閉域網に限定し、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減できます。
一般的にBoxはインターネットを通じてアクセスするクラウドサービスですが、Box over VPNを構成することで以下が可能になります。
主な目的
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アクセス元の制限:社外や個人端末からのアクセスをVPN経由に限定
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セキュリティ強化:Boxへの通信がすべてVPNトンネル内に収まるため、安全性が向上
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情報統制の強化:どの端末・ユーザーがBoxにアクセスできるかを企業側でコントロール可能
仕組み
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利用者はVPN接続(社内ネットワーク)を経由してBoxにアクセス
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BoxのEnterpriseプラン以上で提供されている「IPアドレス制限」機能と組み合わせることで、許可されたIPからの接続のみを許容
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結果として、会社支給の端末+VPN接続済みの状態でしかBoxにアクセスできなくなる
利用条件
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Box Enterprise/Enterprise Plusプラン以上の契約
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企業VPN環境(IPsec, SSL-VPN など)や閉域網(IP-VPNなど)の整備
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IPアドレス制限の活用(Boxの管理コンソールから設定可能)
Box over VPNのメリットとデメリット
ここからは、Box over VPNのメリットとデメリットを企業向けにわかりやすく解説していきます。
メリット(利点)
1. セキュリティの強化
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VPN接続を必須にすることで、Boxへのアクセス元を限定できる
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第三者による不正アクセスやシャドーIT(非承認端末)を防止可能
2. アクセス制御がしやすい
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Boxの「IPアドレス制限機能」と組み合わせることで、許可された環境(VPN経由)以外からの接続をブロックできる
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社内ポリシーに沿ったアクセス管理が実現
3. 情報漏洩リスクの低減
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社外の端末からの不用意なダウンロードや共有を制限可能
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管理下にある通信経路のみでやり取りされるため、ログの一元管理や監査対応がしやすい
4. クラウドでも閉域網に近い運用が可能
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インターネットを経由せずに、社内システムと同様のセキュアな運用が実現できる
デメリット(課題・注意点)
1. ユーザーの利便性が下がる可能性
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毎回VPN接続が必要になるため、外出先やモバイル環境では手間がかかる
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接続忘れやタイムアウトによる業務中断リスクもある
2. 運用負荷が増える
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VPN接続環境の構築・保守が必要(専用機器やVPNサーバーの管理)
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IPアドレス管理・接続ログの収集など、IT管理者の負担が増える
3. Boxの上位プランが必要
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IP制限などBox側の機能を使うには、Enterpriseプラン以上の契約が必要
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コストが増加する点に注意
4. VPN障害が業務に直結する
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VPNサーバーがダウンするとBoxも利用不能になるため、冗長構成や可用性対策が求められる
まとめ
Box over VPNは、クラウドの柔軟性を維持しながら、社内と同等のセキュリティでBoxを運用できる構成です。
特に、セキュリティガバナンスが厳しい業界や、大量の情報を取り扱う企業にとっては、有効な選択肢といえるでしょう。
社外アクセスの制御を強化したい、Boxをより安全に使いたい企業は、ぜひ導入を検討してみてください。
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