RSA方式のVPNとは何か?安全性の仕組みと導入ポイント

RSA方式のVPNとは、ワンタイムパスワード(OTP)を使って高いセキュリティを実現する企業向けの認証方式です。

通常のID・パスワードだけでは防ぎきれない「不正ログイン」「パスワード漏えい」などのリスクを大幅に低減できるため、多くの企業がリモートアクセスVPNの安全強化として採用しています。

本記事では、RSA方式のVPNの仕組み、なぜ安全なのか、導入するメリット、注意点までわかりやすく解説します。

これから企業でVPN導入を検討している方、在宅勤務のセキュリティを高めたい情シス担当者の方にも役立つ内容です。

RSA方式のVPNとは

RSA方式のVPNとは、ワンタイムパスワード(OTP)を用いてユーザー認証を強化するVPN方式のことです。

RSA Security社の仕組みを利用しており、専用トークンやスマホアプリ(RSA SecurID)で生成される一定時間ごとに変わる使い捨てパスワードを使ってログインするのが特徴です。

通常のVPNは「ID+パスワード」でログインしますが、RSA方式ではこれにワンタイムパスワードを追加するため、

  • パスワードの使い回し
  • パスワードの漏えい
  • 不正ログイン

といったリスクを大幅に減らすことができます。

企業のリモートアクセスVPNやゼロトラスト環境で広く使われている、安全性の高い認証方式です。

RSA方式のVPNの安全性の仕組み

ここからは、RSA方式のVPNの安全性の仕組みを解説していきます。

1. ワンタイムパスワード(OTP)の高度な仕組み

RSA方式では、ユーザーが使う物理トークンやスマホアプリ(RSA SecurID)が 30〜60秒ごとに新しい数字コードを生成します。

OTPは次の情報を元に生成されます。

  1. トークン内部の「シード値(秘密鍵に相当)」
  2. デバイスの現在時刻
  3. RSA社独自の暗号アルゴリズム

これらを組み合わせることで、世界に1つだけのOTPが生成され、完全に予測不可能です。

企業側の認証サーバーにも同じシード値が登録されており、両者が時刻同期しながら一致するコードだけが「正しいログイン」と認められます。

→ 仮にOTPが盗まれても、次の瞬間には使えなくなるため安全です。

2. PIN+OTPの多要素認証で不正ログインを強力に防止

RSA方式は次の2つの情報を組み合わせます。

  • ユーザー本人しか知らない PIN(知識情報)
  • デバイスが生成するOTP(所持情報)

この組み合わせは 二要素認証(2FA) の強力な形で、

例)ID・パスワードが漏えい → それだけではログイン不可能
例)RSAトークンが盗まれた → PINがわからないためログイン不可

というように、どちらか一方が漏れても突破されない構造になっています。

3. OTPの改ざん・複製が極めて困難

RSAトークンが安全とされる理由は、シード値(秘密情報)が外部に出ない仕組みにあります。

  • トークンのシード値は外部から読み取れない
  • RSA社の特許技術により複製がほぼ不可能
  • 解析されても時間内に突破することが不可能

仮に攻撃者がトークンを開封してチップを解析しようとしても、シード値は暗号化されて格納されているため取り出すことは実質不可能です。

4. リプレイ攻撃への強さ

リプレイ攻撃=過去に盗んだパスワードを使い回してログインする攻撃

RSA方式では時間ベースでOTPが変わるため、

  • 数十秒後にはコードが無効化
  • 過去のコードを送っても全て拒否

となり、攻撃を根本的に防ぎます。

5. ブルートフォース攻撃が成立しない

OTPは6桁や8桁などの数字で構成されていますが、

  • 有効時間は約30秒
  • PINと組み合わせて認証
  • 認証失敗が続くとアカウント自体をロック

となるため、総当たり攻撃(ブルートフォース)は成立しません。

6. 企業側で厳格な管理が可能

RSA方式は企業側のセキュリティ基盤である「RSA Authentication Manager」で管理されます。

できること

  • 不審ログインの自動検知
  • リスクの高い地域からのアクセスブロック
  • トークン紛失時の即時無効化
  • 端末ごとのアクセス制御

管理面でも極めて優れ、防御性能が高いのが大きな強みです。

7. 金融機関・官公庁で採用される理由

RSA方式のVPNは、次のような厳しい環境で採用されています。

  • 銀行・証券会社
  • 官公庁・自治体
  • 大企業(製造・エネルギー・通信)
  • 医療機関

これらの現場では 情報漏えいが重大事故になるため、最も信頼性の高い認証方式が必要 ですが、RSA方式はそれに適合しているため広く利用されています。

RSA方式のVPNの導入ポイント

RSA方式のVPNの導入ポイントは、次のとおりです。

1. 認証方式を「PIN+OTP」の二要素で統一する体制準備

RSA方式では「PIN(知識情報)」+「ワンタイムパスワード(所持情報)」の2要素認証が基本です。
導入前に以下を整えておく必要があります。

  • 社員へPIN管理ルールを周知
  • トークン紛失・再発行手順の整備
  • ログインフローの標準化

セキュリティポリシーに沿った運用設計が重要です。

2. 物理トークン or ソフトトークンの選択

RSA SecurIDには2種類あります。

  • 物理トークン(キーホルダーのような端末)
  • ソフトトークン(スマホアプリ)

選ぶポイントは次の通り。

項目 物理トークン ソフトトークン
セキュリティ ◎(複製困難) ○(スマホ依存)
コスト △(単価が高い) ◎(安価)
管理 △(紛失リスク) ○(配布が楽)
運用 △(持ち歩く必要) ◎(スマホ・PCで利用可)

企業規模に応じて、コスト・管理性・ユーザー負荷を比較して選択します。

3. RSA Authentication Managerの構築・運用体制

RSA方式VPNは認証サーバーである「RSA Authentication Manager」を中心に管理します。

導入前に以下を確認します。

  • 認証サーバーの冗長化(HA構成)
  • Active Directoryとの統合有無
  • 運用担当者のアカウント管理権限
  • 障害発生時のログ調査フロー

特に大企業では ログ監査とアカウント管理 のルール整備が必須です。

4. VPN装置との互換性の確認

RSA方式OTPは多くのVPN製品に対応していますが、以下を事前に確認する必要があります。

  • 利用予定のVPN装置がRSA認証に対応しているか
  • RADIUS連携が可能か
  • OTP入力方式(ワンタイムパスコード or プッシュ通知)

Cisco、Fortinet、Palo Altoなどの主要製品は対応していますが、中小VPN製品だと未対応のケースもあります。

5. ユーザー教育・サポート体制を準備

RSA方式VPNは一般社員が利用するため、以下の準備が不可欠です。

  • 初回登録方法のマニュアル
  • PIN忘れ/トークン紛失時の対応フロー
  • サポート窓口の整備
  • 利用ログに基づく監視

サポート体制が弱いと、運用開始後にトラブルが多発するため要注意です。

6. セキュリティポリシーとの整合性チェック

導入前に必ず以下を確認します。

  • パスワード管理規定
  • 多要素認証(MFA)要件
  • 離職時のアカウント停止ルール
  • BYOD(私物スマホ)の扱い

企業の情報セキュリティ方針に合致する形でRSA方式を組み込む必要があります。

7. コスト(初期費用+年間費用)の把握

RSA方式の導入には以下が必要です。

  • 認証サーバーライセンス
  • トークン費用(物理 or ソフト)
  • 年間サポート費用
  • 運用担当者の人件費

特に物理トークンは 3〜5年更新が必要 なので更新計画も必要です。

8. 将来的なゼロトラスト化への対応

RSA方式はVPN認証に強い仕組みですが、今後ゼロトラストモデル(ZTA)へ移行する企業が増えています。

  • SAML / OAuthなどのクラウド認証への移行計画
  • リモートワーク増加による負荷対策
  • ID管理(IAM)の統合

VPN中心のアクセスからゼロトラスト運用に移行する際もRSA認証は多要素認証として引き続き利用できます。

まとめ

RSA方式のVPNは、公開鍵暗号(RSA)とワンタイムパスワード(OTP)を組み合わせた高い安全性を持つ認証方式で企業ネットワークへのリモートアクセスを強固に守る仕組みです。

PINとワンタイムパスワードを組み合わせる二要素認証により、なりすましやパスワード漏えいによる不正アクセスを大幅に減らすことができます。

安全性の仕組みとしては、

  • 公開鍵暗号による安全な鍵交換
  • 一定時間で変わるワンタイムパスワード
  • 認証サーバーによる不正アクセス検知

など、多層防御が行われている点が特徴です。

導入にあたっては、トークン方式の選択(物理・ソフト)、認証サーバーとの連携、VPN装置との互換性確認、利用者教育とサポート体制の整備などが重要です。

コスト面や運用負荷を把握しつつ、自社のセキュリティポリシーに沿った形で導入することでより安全なリモートアクセス基盤を構築できます。

RSA方式VPNは、これからリモートワーク環境を整備する企業や高いセキュリティレベルが求められる組織にとって非常に有効な選択肢と言えるでしょう。

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