テレワークや外出先から社内ネットワークへアクセスする際、リモートデスクトップ(RDP)を使う人が増えています。
しかし、「VPNは本当に必要なのか?」「そのまま接続しても問題ないのか?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、VPNがなぜリモートデスクトップ接続において重要なのか、安全に使うための理由や設定手順、注意点までをわかりやすく解説します。
セキュリティ対策をしっかり行いながら、安心してリモート接続を活用しましょう。
目次
VPNとは?リモートデスクトップ接続との関係性を理解しよう
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、インターネット上に暗号化されたトンネルを作り、安全な通信を実現する技術です。
これにより、公共のネットワークを使っていても、盗聴や改ざんのリスクを最小限に抑えられます。
リモートデスクトップとVPNの関係
RDP(リモートデスクトッププロトコル)は、遠隔地からパソコンを操作するための仕組みです。
しかし、この通信をインターネット上でそのままやりとりするのは極めて危険です。
なぜなら、RDPは標準ポート3389番を使用し、外部に公開されていると悪意ある第三者に狙われやすいからです。
VPNを使うことで、以下のようなメリットがあります。
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通信内容が暗号化され、盗聴・傍受が困難に
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インターネットからRDPポートを開放せずに済む
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利用者の認証が必要になり、不正アクセスの難易度が上がる
VPNなしでリモートデスクトップ接続するリスクとは?
リモートデスクトップ(RDP)は非常に便利なツールですが、VPNを使わずに直接インターネット経由で接続することは、重大なセキュリティリスクを招きます。
これは、いわば「玄関の鍵を開けっ放しで外出する」ような状態です。
以下では、VPNなしのRDP接続が具体的にどのような危険をはらんでいるのか、実際の被害例や技術的なリスクとともに詳しく解説します。
1. 不正アクセス(ブルートフォース攻撃)の標的になる
RDPは標準でTCPポート「3389」を使用します。
これを外部に開放していると、世界中のボットネットがスキャン対象にしてきます。
公開から数分以内に攻撃が始まることも珍しくありません。
特に多いのが「ブルートフォース攻撃」です。
これはユーザー名とパスワードを総当たりで試す手法で、セキュリティが弱い場合、数千回の試行のうちに突破されてしまう恐れがあります。
2. ランサムウェア感染の原因になりやすい
RDPを通じて侵入されたあとは、攻撃者は遠隔操作で以下のような行動を取ります:
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管理者権限の奪取
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社内ネットワークへの横展開
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機密ファイルの持ち出し
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ランサムウェアの展開(ファイルの暗号化と身代金要求)
このような「初期侵入経路」として、VPNなしのRDP接続はランサムウェア攻撃の定番ルートとされています。
事例:
実際に、2020年以降に拡大した「REvil」や「Conti」といったランサムウェアグループは、RDPの脆弱性やブルートフォースを使って多くの企業に侵入しています。
3. 機密情報の漏えいリスク
RDPで接続した先には、共有ドライブ・顧客データベース・社内文書など、多くの重要情報があります。
VPNがない場合、RDPセッションが暗号化されていない、または容易に傍受される状態であることもあり、通信内容やログイン情報が第三者に見られる可能性すらあります。
4. 社内ネットワーク全体が乗っ取られる危険性
VPNなしでRDPを外部公開すると、PC1台の被害で済まず、その端末を踏み台にして社内ネットワーク全体が攻撃対象になることがあります。
これを「ラテラルムーブメント(横展開)」と呼びます。
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ファイルサーバーが暗号化され、業務停止に
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Active Directoryを乗っ取られ、社内PCすべてに攻撃が波及
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監視カメラやプリンタなどIoT機器までも操作される
こうした全社的なダメージは、復旧に数週間〜数ヶ月かかり、信頼回復にも時間が必要です。
5. 法的責任・損害賠償リスク
個人情報や顧客データの漏えいが発生すると、個人情報保護法や不正アクセス禁止法に抵触する恐れがあります。
法人の場合は、損害賠償や信頼失墜といった二次被害も深刻です。
中小企業であっても「VPNを導入していなかった」という事実が重く見られ、責任を問われるケースがあります。
6. 被害に気づきにくい
VPNのようにアクセスログや認証記録がしっかりと残る環境では、不正アクセスの検知が可能です。
しかし、RDPだけを公開しているとログが不十分で、被害に気づいたときにはすでに遅いということがよくあります。
VPNを使ったリモートデスクトップ接続の安全な使い方
リモートワークや外出先からの業務対応を安全に行うには、「VPN × リモートデスクトップ接続」の組み合わせが最適です。
ただし、VPNを導入するだけでは安全とは言えず、正しい手順と運用ルールが必要です。
ここでは、VPNを利用してリモートデスクトップ接続を行うための安全な構築手順と運用のポイントを、初心者でも実践できるように詳しく解説します。
ステップ1:信頼できるVPNサーバーを用意する
VPN環境の第一歩は「VPNサーバー」の準備です。これは社内ネットワークや自宅LAN内に設置します。
代表的な選択肢:
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ルーター内蔵VPN機能(YAMAHA RTX、NEC IXなど)
→ 小規模オフィス・個人利用に向く。設定も比較的簡単。 -
Windows Serverのリモートアクセス機能(RAS)
→ 企業向け。Active Directoryと連携でき、柔軟な認証制御が可能。 -
ソフトウェアVPN(OpenVPN、WireGuard、SoftEther VPN)
→ 無料・高機能で中小企業でも導入しやすい。
ステップ2:VPNクライアントソフトをリモート端末に導入
VPNサーバーと通信するためには、クライアントPC側にも専用のVPN接続ソフトが必要です。サーバー側と同じプロトコルに対応したソフトを使用します。
例
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FortiGate → FortiClient
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OpenVPN → OpenVPN Connect
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SoftEther VPN → SoftEther VPN Client
注意点
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パスワード管理を強化(簡単な文字列は避ける)
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証明書ベースの認証を使うとより安全
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自動接続設定は控えめにし、必要時のみ接続する
ステップ3:VPN接続を確立し、社内LANにアクセスする
VPNクライアントを起動して接続を行うと、PCに社内と同じネットワークアドレス(ローカルIP)が割り当てられます。
これにより、まるでオフィスにいるかのように内部の機器へアクセスできる状態になります。
確認すべきポイント
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VPN接続後、社内のプリンタやファイルサーバーにpingが通るか
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RDP対象のPCに割り当てられたIPアドレスを確認しておく
ステップ4:リモートデスクトップ接続を実行する
VPNが確立したら、リモートデスクトップを起動して接続先の社内PCのIPアドレスを入力します。
接続方法(Windowsの場合)
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スタートメニュー > リモートデスクトップ接続(mstsc)を起動 -
社内PCのローカルIPアドレスを入力(例:192.168.1.10)
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ユーザー名とパスワードを入力してログイン
セキュリティ対策
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接続先PCは常に最新のWindowsアップデートを適用
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パスワードは強力かつ定期的に変更
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RDP接続を許可するユーザーを最小限に設定
VPNを使えば完璧、というわけではありません。以下のポイントにも注意しましょう。
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強力なパスワードを設定し、簡単に推測できるものは避ける
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2段階認証(MFA)を導入することで、万が一の漏洩にも備える
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VPNとRDPのログを記録しておき、不審な接続がないかを定期的に確認
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接続しないときはVPNを切断することで、攻撃対象時間を減らす
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公共Wi-Fiからの利用はなるべく避ける(VPNを通していてもリスクはゼロではない)
よくある質問(FAQ)
以下は「リモートデスクトップ接続にVPNは必要?安全な使い方と設定方法」に関連したよくある質問(FAQ)セクションです。
Q1. VPNを使わなくてもリモートデスクトップ接続できますか?
A. 技術的には可能ですが、非常に危険です。
RDPポート(3389番)を直接インターネットに公開すると、ブルートフォース攻撃やランサムウェア被害に遭うリスクが高まります。
VPNを使わずにRDPを運用することはセキュリティ上、強く非推奨です。
Q2. VPNを導入すれば完全に安全ですか?
A. VPNを導入することで安全性は大きく向上しますが、「完全」ではありません。
VPN導入後も、パスワード管理・多要素認証・アクセス制限・ログ監視などのセキュリティ対策を並行して行う必要があります。
Q3. 無料のVPNソフトやサービスを使っても大丈夫ですか?
A. 用途によります。個人の簡易的な利用なら一部は可能ですが、業務用途には不向きです。
無料VPNサービスは通信の安定性・速度・セキュリティが保証されず、商用利用を禁止している場合もあります。
企業や重要データの取り扱いには、信頼性の高いソリューションを選びましょう。
Q4. VPNの接続が不安定です。どうすればいいですか?
A. 以下のような原因が考えられます:
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ネット回線が混雑している → 接続時間帯をずらす・有線接続に切り替える
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VPNサーバーの設定が不適切 → MTU値やポート設定を見直す
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ルーターがVPNパススルーに対応していない → VPN対応ルーターに変更する
それでも解決しない場合は、VPNログやネットワークのパケットキャプチャを確認するのが有効です。
Q5. VPN経由でも遅延が気になります。軽くする方法は?
A. 通信の暗号化によるオーバーヘッドが原因です。
対策として
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より高速なVPNプロトコル(WireGuardなど)を選ぶ
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VPNサーバーと接続先PCの距離を近くする(地理的に)
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VPNトラフィックの圧縮設定を見直す
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リモートデスクトップの画質設定を「低」に変更する
Q6. VPN接続後にリモートデスクトップに繋がらないのはなぜ?
A. 主な原因として以下が考えられます:
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接続先PCのIPアドレスが変わっている
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RDPが有効化されていない(Windowsの設定で無効)
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ファイアウォールがRDP(ポート3389)をブロックしている
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VPN接続は成功しているが、社内ネットワークに正しくルーティングされていない
それぞれの設定を一つずつ確認してみましょう。
Q7. VPNとリモートデスクトップ以外に安全な方法はありますか?
A. あります。以下のような代替手段が挙げられます:
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TeamViewer、AnyDesk、Chromeリモートデスクトップなどのリモート操作ツール → 導入・操作が簡単だが、企業利用にはポリシーの確認が必要です
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仮想デスクトップ環境(VDI)→ 高度でセキュアだがコストがかかるため中〜大規模向けです
ただし、これらも設定と運用ルール次第でリスクがあるため、セキュリティ対策は必須です。
まとめ
リモートデスクトップ接続を安全に行うには、VPNの併用がもはや必須です。
VPNを通じて通信を暗号化し、社内ネットワークへの安全な入り口を作ることで、外部からの攻撃を大幅に防げます。
「VPNは面倒くさいから後回し…」と考えるのではなく、大切なデータやシステムを守るために、早めに構築・導入を検討してみてください。





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